JH3DRN 趣味の徒然

主にアマチュア無線、電子工作について書いてます.

水晶式 FMワイヤレスマイクを作る(共立電子さん部品セット)

経緯

私の家のインターホンはリビングに付いていて、シャックとは距離数メートル、ドア2枚で遮られている。で、家人が留守の時、宅配等が来てインターホンで呼び出された場合に聞こえないケースが多く発生して、不在票が入り妻君に良く怒られる。そんな訳でリビングの音をシャックで聞くのにワイヤレスマイクを作ろうと思った訳である。勿論今までにも何台か作った事はあるが全て周波数をコイルとコンデンサで共振させる物だったので、今回は周波数の安定を考えて水晶発振式を選択したいと考えた訳だ。

色々探した結果

インターネットで回路図やキットを探したのだが、中々適当な物が見つからずにいたが、共立電子さんの ”FMワイヤレスマイク部品セット” に辿り着いた。価格も¥660と圧倒的に安価でマイクまで付属している!。パッケージがこんな感じ。

FMワイヤレスマイク部品セットのパッケージ

ささっと作ってみたが、、、

付属の基板がベークだったので、手持ちのエポキシに替えて回路図だけみて作った結果、

  • 旨く発振しない
  • 電波が弱い
  • 音声が乗らない

などの不具合が発生した。で、ここで取説を良く読むと色々書いてある。それがこんな様子

FMワイヤレスマイク部品セットの取説
ここに来てようやく使用されているIC: MC2833 のデータシートをみると、何とこのIC 水晶の固有周波数を一定の倍率で逓倍しているのではなく、指定するLCの容量で逓倍数が変わる様だ。これはいかんと判断して作り直す事にした。最初に作った失敗基板はこちら
失敗した基板

作り直す

この際、取説になるべく忠実に作る事にして再組み立てしたのがこんな感じ。

作り直した基板

周波数が違う、、

作り直した結果、無事に電波も音声も安定して動作して当初の目的は果たせたのだがおかしな点が1つ:周波数が違う。水晶の周波数は 13.875MHz 。6逓倍で 83.25MHz になる仕様なのだが、何故が 97MHz 付近の電波が強い。スペアナでみた状況がこんな感じ。

FMワイヤレスマイク;スペアナ測定
本来の目的周波数より、低い5逓倍(69.375MHz)が一番強く、目的の 83,25MHz(6逓倍) は弱い。それで、2番目に強い 97.125MHz(7逓倍)が見つかった訳だ。念のため、69MHz対応の受信機で確認したら、信号を受信出来たので間違いない。本来なら BPF で目的以外の周波数をカットするとか、そもそも設計時に逓倍数と周波数の関係を周知して設計するとかが必要なのだと思うが、考察するに13.875MHzの水晶がたまたま多く在庫があったのでこう言う設計で販売されたのではないかと推察する。取り合えず当初の目的は果たせたのでこのまま97MHz のワイヤレスマイクとして使用する事にする。