JH3DRN 趣味の徒然

主にアマチュア無線、電子工作について書いてます.

水晶式 FMワイヤレスマイクを作る:共立電子さん:その弐

経緯

少し前に紹介した、共立電子さんの「MC2833 FMワイヤレスマイク部品セット」だが、本来の設計では83MHz付近で使用する様だがスペアナで確認した所, 一番電波が強かったのが69MHz だったのでこの周波数で使う事とした。私の手持ちの受信機がその周波数に対応していたのが幸いで、宅配便のチャイムを逃すことなく使えている。良い感じで使えていると欲がでるもので、このIC MC2833 で遊んで見ようと思ったのが事に始まりだった。まずIC単体での入手だが今回は e-bye を利用して購入できた。SOP16PタイプのICで、注文はこんな感じ

e-bye での注文の様子
5月16日に注文して6月11日に到着しデリバリはOK。後はICが本物かどうかだが、結論から言うと正常に動作したので良し良しである。10個で約¥1000 なのでコスパも良く色々遊べると思う。

事前検討

何がやりたかったかと言うと、

  • 手持ちの水晶を使ってどんな周波数が使えるか試す(水晶をソケット接続)
  • 出力部のコイル(L4) と_同調用コンデンサ(C13, C14) をソケット接続する
  • 出力部のコイル(L4) を 10K ボビンで巻いて共振周波数を調整出来る様にする

SOPタイプのICを秋月電子さんのDIP変換基板に載せて組んだ基板がこんな感じ。SOPタイプのICをDIP変換するとスペースが大きくなるかに思えるが、実際はICソケットの中に部品を装着出来るので配線も楽だしスペースにも余裕が出来ると言うメリットがある。

IC、コイル、コンデンサを載せる前の基板
設計値としては

  • 中心周波数 76〜80MHz 付近
  • L4 コイル 10Kボビン 一次側のみ5回巻き
  • C13,C14 共 5 PF

コイルとコンデンサの組み合わせで事前にディップメータで共振周波数を確認しておくと後の作業がスムーズになるが、、ディップメータって皆さん持っているのかが ちょっと?? でもこう言う自作する際にはある意味必需品だと思う。(中古で10K〜20K位かな)

組んでみた

色々と試行錯誤した事は横に置いて結論から言うと

  • 目的の出力周波数は 出力側の L4 C13, C14 の共振周波数で決まる
  • 目的の出力周波数 = 使用する水晶発振周波数 x n となる
  • 76MHz を発信させたければ、水晶の基本周波数は、38MHz, 25.3MHz, 10.8MHz のいずれでも実現出来る
  • 従って水晶の逓倍数を意識する事無く、手持ちの水晶で自由に実験出来る
  • 今回実験に使用した水晶発振子は 38.415MHz(2逓倍:目的周波数:76.830MHz)
  • 11.300MHz (7逓倍:目的周波数:79.100MHz )の2つ

実際に全ての部品を載せた状態がこちら

全ての部品を載せた状態

測定結果

先に述べた2つの水晶発振子を実装、通電して同調を取ったスペアナ画像がこちら

38.415HMz の水晶を使用したケース
11.300MHz の水晶を使用したケース
水晶の発振周波数が 38.415MHz, 11.300MHz いずれのケースでも目的の周波数を出力出来ているが、逓倍数が少ない方が出力がやや大きい事が注目される。しかしこの値が僅差であることから逓倍数が大きくても十分実用になると思われる。

結論
  • MC2833 は手持ちの水晶発振子の周波数のn倍の周波数をL4, C13, C14 の共振周波数とすれば逓倍数に関わらず発振する事ができる
  • 逓倍数が少ない程出力が大きくなる傾向がある
  • 水晶発振子の基本周波数が分かっていれば逓倍数に関わらず n倍:周波数の送信機を作成出来る
  • MC2833 は面白いICである
  • 久々に使ったディップメータ & スペアナなど 自作派には心強い味方だねえ〜

と言う事で今回は、手持ちの水晶でFMラジオで受信出来るワイヤレスマイクが簡単に作れる事が実証出来てまずは良しとします。